股関節痛とは、

骨盤と大腿骨（太ももの骨）を繋ぐ

関節周囲に痛みや違和感が生じる状態の総称です。

単に関節自体の問題だけでなく、

周囲の筋肉、靭帯、滑液包、

さらには関連する神経のトラブルも含みます。

• 変形性股関節症: 軟骨が摩耗し、骨が変形していく最も一般的な疾患。

• 股関節唇損傷: 関節の縁にある軟骨（関節唇）が傷つき、引っ掛かり感や痛みを生じる。

• 特発性大腿骨頭壊死症: 血流障害により大腿骨の一部が壊死する病態。

• 関連痛: 腰椎椎間板ヘルニアや仙腸関節障害により、股関節付近に痛みを感じるもの。

病院の検査（レントゲンやMRI）は、

主に「骨や軟骨の形」を診るものです。

そのため、「軟骨は綺麗だから異常なし」

と言われたり、

逆に「軟骨が減っているから手術しかない」と、

形の結果だけで判断されてしまうことが

多々あります。

しかし、痛みを出しているのは

「形」ではなく、

そこにある「機能（動きと循環）」です。

当院では、

たとえレントゲンで変形が見られても、

なぜその部分に負担が集中してしまったのかを

身体全体から探ります。

足首の古傷、内臓の癒着、頭蓋骨の緊張……。

これらは病院の検査では

見落とされがちなポイントです。

身体全体のバランスを整え、

股関節が本来持つ「ゆとり」を

取り戻すことで、

変形があっても痛みのない生活を

送ることは十分に可能です。

オステオパシーは、

単なるマッサージではなく、

解剖学と生理学に基づいた徒手医学です。

股関節痛に対する有効性についても、

世界中で研究が進められています。

ある臨床研究では、股関節症患者に対し、

従来の理学療法に加えて

オステオパシー手技を併用した群では、

関節可動域（動かせる範囲）と

疼痛スコアにおいて有意な改善が見られたと

報告されています。

これは、関節そのものだけでなく、

周囲の筋膜や内臓、

神経系を含めた「全体性」へのアプローチが、

長期的な回復に寄与することを示唆しています。

参考文献: 「The effects of manual therapy or exercise therapy or both in people with hip osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis」